禁断の花?
―ある日の昼下がり。
ディアーナと、芽衣とシルフィスの仲良し三人組は王宮のディアーナの部屋でお茶を飲みながら楽しくおしゃべり。
しかし、その平和な空気は突然破られる事になる。
何の前触れもノックも無しに、いきなり大きく開く扉。
その音にびっくりして三人は弾かれたように顔を上げた。
そこには、どこか憔悴した感じの筆頭魔導士。
片手で扉にもたれかかり、もう一方の手で顔の半分を覆い、疲れきったように大きく深い息をはく。
そのただならぬ様子にディアーナは慌てて椅子から立ち上がった。
「―シオン!? ど、どうなさったの!?」
「……姫さん…」
長い蒼の前髪の間から僅かに琥珀の瞳がのぞく。
その瞳に宿るのはいつもの彼らしい強さではなく、どこか頼りなげな揺れる光。
それを見てディアーナはあたふたと彼の元に駆け寄る。
「ど、ど、どうしたんですの!? ど、どこか痛いんですの!?」
「いや、ちょっと禁断症状が…」
「き、き、きんだんしょうじょう!?」
半ばパニックになって叫び返すディアーナ。
わけが分からなくて彼女はほとんど泣きそうになっていた。
とにかくシオンの具合が良くない。
何だかよくわからなくても何しろ大変なのだ。
「そ、そうですわ! メ、メイッ! 回復魔法…」
おたおたしながら友人の方を振り返り、言いかけた瞬間。
シオンの手がディアーナの首の後あたりを捕まえて――――。
―chu♪
…立ち上がりかけた姿勢のまま、固まる芽衣とシルフィス。
目を見開いたまま、凍りついたディアーナ。
彼女はその時点で完全に動きを封じられていた。
シオンに、しっかりと唇を塞がれた格好で。
…………………………。
―――永遠にも等しい静寂――――
やがて、ゆっくりと離される唇。
…漂白されまくった部屋の空気の中、ただ一人、シオンだけが楽しそうに満足した表情でにっこりと笑った。
「うん。これで多分夕方まで持つかな」
唖然として固まっているディアーナからシオンの腕がするりと外される。
「…シ……」
「…じゃあ、またあとでな♪」
口をパクパクさせるディアーナにシオンはひらひら手を振って開きっぱなしの扉からすたすたと出て行く。
「シオン〜〜〜〜!?」
顔を赤くして涙目になりながら、去っていく彼の後ろ姿に悲鳴を投げかけるディアーナ。
…その後ろで、芽衣がずるずるとテーブルに崩れ落ちた。
投げ出した自分の腕の上に突っ伏した後、僅かばかり顔をあげて隣のシルフィスを見る。
「ねぇ………」
「………はい…」
げんなりとした芽衣と、少々赤くなって顔を引き攣らせるシルフィス。
「…………なんとか、ならない? …この二人……」
「な、なんとかって…」
シルフィスはそこで暫し、立ち竦むディアーナとシオンの出て行った扉を見詰めて――
…ゆっくりと、疲れた笑みを浮かべた。
「ならないんじゃ…ないですか?」
「……………………やっぱり…?」
ひきつりまくった顔で、ずるずると突っ伏しなおした後、握り拳でガバッと身を起こす芽衣。
…そして。
一体何回目になるやら分からない、彼女の絶叫が王宮に響き渡るのであった。
「ああ、もうっ! 誰か何とかしてよ、この二人――――――――ッ!!」
〜Fin〜
NAOKO様より:
…というわけで。
はた迷惑な二人(っていうか、シオン)でした(笑)
-管理人より-
Naoko様宅の一周年企画記念フリー創作の内の一つですー。
可愛い!(><。)なんて言うか、まるでディア、一種の麻薬ですねー。
その余りの可愛さに思わず強奪して参りました。(爆)有難うございましたー。(T▽T)