プライド
すらっと伸びた白く繊細な四肢。
整った五官。
黙っていれば神秘的な魅惑漂う面持ち。
誰もが目を見張る眩い銀髪は、寝入る少女の周り縦横無尽に広がっている。
何が悲しいのか、疲れたからと言ってベットを占領されてしまったアークは、
無防備に寝入る恋人・・・ではなくて、友人・・・とも違う気がする・・・良く
解らない関係にある少女を、溜息吐きながら見詰めていた。
ガキの成長期ってこえーよな。
最近アクアを見る度、アークはそう思わずにはいられなかった。
少し前までは、彼曰くちまっこいガキだった筈なのに、
今では何処に行っても噂される美少女だ。
なんだかねぇ・・・。
はっきり言って、心境は可也複雑であった。
彼の中で、アクアはまだ子供のままだ。それに実際、外見は大きくなっても、
アクアの性格は全くと言って良い程変っていない。
だから今だに顔を会わせる度、「ガキ」だの、「お子様」だのと、言ってしまうのである。断じて
彼女の魅力を認めるのが癪だから等と言う幼稚な理由ではない。
「・・・・・んっ・・・。」
アクアが、小さく寝返りを打つ。その拍子に長い髪が頬にかかり、邪魔そうなので何となくアークはそれを
払ってやった。
畜生。可愛いし。
いや、元よりアクアは文句なしに可愛かった。例え口が悪かろうと、手が速かろうと、食の為なら
手段を選ばない大食らいであろうと。外見だけは、思わず抱き締めて頭を撫でたくなる様な美少女
であった。が、そんな当時の魅力とはまた違うのである。
ってんな事言ったらロリコンみてーじゃねーか!俺がっ!!
それだけは断じて違う(と信じたい)が、近頃アークは、アクアの一挙一動に動揺させられる様になっていた。
無論、別の意味で破天荒な彼女に動揺させられる事は多い。が、そうではなくて・・・・・それは、煽情されるような・・・・戦慄。
今も、そうだ。
ほんのりと紅色が差した頬。花弁の様な、しっとりとした小さな唇。
さも奪ってくれと言わんばかりに色づいたそれに、引き寄せられる様にアークは顔を近づけ・・・。
寸前の所で我に返った。
ちょっとマテ、俺今何しようとした・・・・・?
自らの行動を、恐る恐る反芻して・・・アークは思いっきり顔を手で抑えた。
どんな言い訳があろうと、これは所謂、不意打ち、夜這い、いや、夜ではないから夜這いではないかもしれないが、どちらにせよヤバイ。
それに相手は子供・・・いや、子供じゃねーけどっ!!やばいんだってっ!とにかくっ!
自己規制と言う名の葛藤の後、どっと疲れたようにアークは溜息を吐いた。未遂に終って良かった。
ったく・・・元はといえば、無防備に寝てるコイツが悪い。
彼の苦労などつゆ知らず、アクアは只管快眠を堪能している。
なんだか無性に腹が立ったアークは、その柔らかな頬をぷにっと引っ張った。
「起きろ、コラっ!!」
「うにゅ・・・・。おはよう・・・・?」
まどろみの中で、叩き起こされたアクアだが、意外にも素直にのそのそ起き上がった。
だが、語尾がクエスッションマークな辺り、まだ寝惚けていると見える。
「もう夕方だってーの。」
「・・・・・寝たり無い。」
「あっそ、じゃあ帰ってねろっ!!」
「むぅ〜・・・・。」
ぷぅっと頬を膨らませてはみるものの、その瞳は寝起きの所為か、潤んでいる。
絶対やべーな。俺。
なんでこーも一々同じ顔に・・・。
「本当に、さっさと帰れ。」
じゃねーと、俺がヤバイ。
「・・・怒った?アーク。」
「寝る前に聞けそーゆー事はっ!!」
「う・・・・ごめん・・・。」
だって眠かったんだもん。などと珍しく素直に謝るものだから。本当にたちが悪い。
そう言えば数日前、『アークは、私の魅力を解ってないとおもうの。』などと冗談か本気か解らない台詞を言っていた気がするが・・・。
解ってる。解ってるよ。いやだっつー程な!!
だから好い加減勘弁してくれ。っつーか手加減してくれ。ヨロシク。
等とは口が裂けても言える筈が無く。
意地と見栄とプライドに掛けた彼の葛藤はもう暫く続く事になるのだった。
コメント:
数回書き直して、結局一番無難に短く落着きました。(笑)比喩が意味不明なのと、80%お題無視なのはご愛嬌。<マテ。
毎度の事ながら、ラブラブ書こうとするとエロエロに走りそうになってしまうワタクシです。(爆)