所謂在り来たりな代名詞だが、それすらも、彼らには当てはまるかどうか、定かではない。
友人かと聞けば、
「だれが、あんなかいしょーなし。」
「誰があんなガキんちょ。」
っと声をそろえて返され、
ましてや恋人かと聞けば。
「ゆーもあの、せんすを、みがくべきよ。あなた。」
「んな訳あるか!ドアホっ!!」
っとまぁ、徹底的に否定される始末。
ならば、一体なんなんだおのれら。っと聞いてみれば、双方揃って口を噤むのだ。
要するに、当人同士にも解らないらしい。
曖昧な関係。
「ウルトラサンダースペシャルローリングくらっしゅきーーーっくっ!!てやっ!!」
バキャッ!!!!
叫び声すら上げられない内に、見事に吹っ飛ぶ、紫紺の騎士。アーク・ハリントン。
そしてその横で既に万事着陸をはたし、何事もなかったかの様に佇む、アロランディア一の
美少女と謳われる、魔導師、アクア。
今日も平和な日常の一コマである。
「てっめぇ〜・・・・仮にも女がっ!回し蹴りなんかするなっ!!」
外見(だけ)は麗しく成長したアクアに啖呵を切る。大体、見えたらどうするんだ。見えたら。っと
内心で更なる突込みを入れるアーク。
「ったく、何時まで経っても暴力的な所は直ねーんだからよ。」
「アークせんようだよ・・・・?あめだまと、むち。」
まだ痛むあばらをさすりながら起き上がったアークに、アクアはしれっと言い放った。
この女・・・・。
中身のみならず、外見もすっかり魔性の女と化しつつあるアクアに、思わず頭痛を覚える
アークであった。
「あーもー良い。なんでてめーは此処にいんだよ。」
「さぼり常習犯アークを、たいほしにきた。」
「ふーん、よーするにお偉いさんに言われて俺を連れ戻しに来たわけだ?ご苦労なこったな。」
皮肉を込めて言うと、アクアの瞳がすっと細められる。美人が怒るとそれだけで迫力物だ。
「わたしは、リュートじゃ、ないわ。なんどいったら、わかるの。」
怒ったような、それでいて、何処か寂しそうな声。
「・・・ちっ、悪かったよ。行くよ。行きゃいーんだろ?」
流石に罰が悪くなって謝罪したアークに、アクアは「解ればいいのよ。」っと先ほどとはうって変わって
悠然と笑みを浮べた。それが又どうしようもないくらい綺麗な物だから。
やべぇ。こいつ相手に紅くなったら後で何言われるか解ったモンじゃねーよ。
思わず紅くなった顔を隠すようにすたすたとアークは歩き出した。
その後を、悠々と
着いて行くアクア。
リュートと一緒に、葵がダリスに行って。
哀れになるぐらいに、ダメ人間と化していたアーク。
周りは同情してたかもしれないけど、はっきり言ってうざかった。
「わたし・・・ひまじゃないのよ。やる気ないなら、帰るわ。」
まだ星の娘候補時代、遠慮なくそう言ったアクアは、後マリンに宥められて。
「傷心してるんですから、そんな事いったら可哀相ですよっ!!」
とそう言われて、あぁ、と初めて、彼が葵の事を好きだったのだと知った。
子供の視線からでは解らなかった、世界の一部。
その時、どう思ったかなんて、覚えてない。
でも、結局、マリンが星の娘になって。アクアはそのまま魔法院に残る事になり、
なんだか良く解らないけど、どうしようもないこの男の世話を焼いたりやかれたりしながら
今に至っている。
あいかわらず・・・だめなひとだけどね。
仕事はさぼるわ女遊びは激しいわ節操はないわ自分勝手だわ寂しがりやだわ・・・。
欠点を並べたら限が無い。
でも、まぁ、とりあえず。
のったり歩きながら、離れて行く背中を見つめる。
「おい、何してんだ?速く行くぞ?」
そうやって、振り返ってくれる事を知っているから。
「うーーん・・・いいてんき・・・さぼりたく、なったわ。」
「はぁぁぁ〜!!??」
思いっきり脱力したような顔を見せるアークの肩を、ぽむぽむと叩きながら、アクアはまっさらな
空を見上げた。