| Chapter8: 『 真夏の海で(後編) 』 |
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| (ごめんなさい〜〜〜〜〜〜〜!!!) なんとか夕食には復帰する事ができた宍道に、雪菜は申し訳なさそうに深々と頭を下げていた。 責任を問われれば、彼女は何も悪くない気もするが、それでもやはり根本的な原因である事は否めない。 もちろん、まどかにも謝罪を奨めてみたのだが、 「だぁ〜かぁ〜らぁ!!!あいつは私たちが出かけたって嘘ついたんでしょーが!!結果的に何もなかったよーなモノの、 絶対何か企んでたのよ!!雪菜は甘すぎるのよ!!」 っと頭ごなしに言われてしまい、結局挫折してしまったのである。この状況を見られてしまえば、またもや 激怒されかねないので、ちゃんと弥には状況を説明してあるが。 (まどかちゃん、本当に私の事心配して。。。その。。。いつもはあんな乱暴な事はしないのですけど。。。) いや、まどかは何時も暴力的だと思うが。。。。そんな事はつゆ知らず、たどたどしく手話で説明する雪菜が 余りにも可愛らしく、宍道は彼女を抱き締めたい欲情にかられていた。もはや、謝罪の台詞など、全く持って 耳に入っていない。。。基、見えていない。 あぁ。。。。なんて可愛いんだ!雪菜ちゃん!!(T▽T) 間接的とはいえ、彼女の所為で地獄を見た事など既に忘れ去っているこの男、相当の馬鹿である。恋は盲目とは 良く言った物だ。 ゥ 「ふーん。なかなか良い感じにやってるじゃん。雪菜とアンタの兄上」 「。。。。。どっから現れたんだお前。」 雪菜と宍道からステージを挟んだ向かい側にて、突然声を掛けられて、乖吏は相手を確認するまでもなく顔を顰めた。今日、コイツには十二分に 迷惑をかけられた。これ以上は絶対に何がなんでも関わりたくないと思っている為、 嫌悪感を隠そうともせずに答える。そんな事で怯む弥ではない事も知っているのだが。。。 「いや、なんかナンパが捗ってないみたいだから?景気でもつけてやろーかと。」 「余計なお世話だ!てめーは暴力女でも見張ってろ!」 イラついた。図星を着かれた証拠だと解っていても、だからと言って。。。いや、だからこそ余計に焦慮してしまう。 「反省してるよ。雪菜困ってたし。。。だから、邪魔は入らねーって訳だな。」 意味ありげな彼女の台詞が、何を示すのか、考えなくとも解った。自然に視線が、 ステージの向こうに絡めとられて、それがまた酷く腹立だしくなる。 「。。。。そーかよ。じゃあ俺の邪魔もするな。」 これ以上は余裕を奪われまいと、乖吏はその場から立ち去る。彼が心底不機嫌にも関わらず、弥はその姿を 愉快そうに眺めていた。 「ふむ。。。。こりゃぁー面白くなりそうだな。」 一人ほく笑むんでから、弥は今ごろふてくされているであろうまどかの元へと 戻る事にした。彼女なりの気遣いなのだろう。。。が、結局は挑発されて爆発するまどかの姿が目に浮かぶようである。 ゥ 気付いているようで、気付いていない事があって。 気付いていても、気付かない振りをしている事がある。 さわさわと風が吹く。お世辞にも涼しいとは言えないが、それでも昼間の灼熱に比べれば ある程度はマシであろうそれに、乖吏はなんとなくベランダに出た。 疲れすぎて眠れないのかもしれない。。。。。初日からこんな事では先が思いやられた。 時計は既に夜中2時になろうとしている。普通の旅行客ならば、寝ている時間であろう。 その証拠に、ホテルの窓に、殆ど明かりは点いていなかった。おかげで星が眩く浮び上がっているが、 そんな事に感動できる程彼はロマンティストではない。そして、何気なく人気も無くなった砂浜に目をやった乖吏は、 不自然な程に生彩を放つ白い人影を見つけて、思わず瞳を見開いた。 。。。。。。。。まさかな。 視力は余り良いとは言えないが、遠くのそれは女性に思えた。。。。いや、歩く感じからして、女性と言うよりも少女であろう。 その真っ白な衣が、彼女の姿を周囲の空間から隔離していて。。。。。本当になんの根拠もないが、雪菜に思えてならなかった。 が、いくらなんでもこんな真夜中に一人で出かける程無防備ではないだろう。。。そうであると思いたい。 (星がきれいね。) などとにこにこと笑いながら嬉しそうに空を見上る姿が、当然の様に脳裏に浮かぶ。 (波の音とか。。。。色とかね、大好き。) そう砂浜に書き込んで、微笑んだ彼女の笑顔が、打ち付けるような痛みと共に蘇った。 思わず身を翻して、部屋に戻る。やや乱暴にヴァルコニ―のドアを閉めてから、 乖吏は大きく溜息を付いた。大体、人影だけで、 雪菜と断定できた訳でもないのだ、間違いである可能性も大きい。 この侭、放っておいて、見なかった事にして、寝てしまおうと思った。。。。が、これで眠れれば苦労はしない。 宍道にでも伝えてみようか。。。とも思ったが、彼の寝癖の悪さを思い出してその案は呆気なく却下された。 酷くバカバカしい事を気にしている気がするのだけれど、どうしようもなくて。 雪菜だから、気になって仕方なくて。雪菜だから、関わりたくないのだ。 整える事のできない、酷く矛盾する思いを、歯がゆく思いつつも、乖吏は悩んだ末、素直に本能従う事にした。 。。。。。。。これも運のツキと思って諦めるか。 何となく嫌な予感がするのは否めないけれど。 ゥ (星がきれい。。。。。。) 案の定というか何と言うか、雪菜は夜空を見上げて感嘆の吐息を漏らしていた。けれど、 その面持ちからは何処となく落ち着かない様子が受け取れる。 (。。。。。。。。どうしよう。。。。) 暫く無心に星と見詰め合ってから、雪菜はその小さな白い手を抱え込む様にして項垂れた。なんとなく海水に足を浸して、 気分を紛らわそうとするけれど、どうも上手くいかなかった。六時以降は外に出るなという浪江さんの忠告も、 すっかり頭から抜ける程、雪菜は困惑していた。 「雪菜!!!」 (きゃぁぁぁ!!!!!!) バシャン!! 余りにも無防備に誰も来ないと思っていた雪菜は、突然名前を呼ばれて、 驚きの余り内心大きく叫びを上げた。勿論、声は出ないが、その所為で足元が揺らぎ 思わず押し寄せた波の中へと倒れこんでしまう。水嵩は無いものの、羽織っていた薄い衣は ずぶ濡れに近い状態となってしまった。 (えっっと!????) それでもイマイチ状況を掴み取れず、彼女がぼーっと海水に浸かっていると、 ばしゃばしゃと駆け寄る足音が聞こえて、ぐいっと腕を掴まれ、立たされた。 「何やってんだ!お前はっ!!」 (。。。。。。乖吏??) 可也怒っているようであるとは理解できたが、何故乖吏が此処にいるのか。。。 雪菜は驚愕に目を見開いた侭、じっと彼を見上げた。それに反射的にふいっと瞳を反らせる乖吏。 「ったく。。。。。真夜中にこんな所に一人で来て、ナニが有っても文句は言えねーからな!?」 不機嫌そうにそう言われて雪菜はしゅんっと小さくなる。そんな反応をされてしまえば、 嫌がおうでも自分が悪いような気になってしまう物で。乖吏は深々と溜息を吐いた。 「解ったよ。。。俺も驚かせて悪かったな。。。。。戻ろうぜ?」 なるべく優しくそう言ったものの、雪菜は頷こうとはしなかった。困ったような、申し訳ないような、 そんな表情を浮べて何か考えている。 (。。。。戻りたくないな。。。) 戻ってもどうせ眠れない事は解っていた。だったら、夜風に当っていたい、 乖吏ともっと一緒にいたいと思ったけれど、伝える術がない。 暫く考えた後、雪菜は思いついたように走り出した。 「おいっ!!雪菜!!??」 慌てて引きとめようとした乖吏だが、その必要はなかった様で、少しだけ波間を駆け分けた後、雪菜は 長い小枝の様な物を持って帰ってきた。 少しだけ、お話ししてくれる? さらさらと砂の上に描き出された文字は、ありったけの勇気を込めた物だったのだけれど、 乖吏はそれと雪菜を交互に眺めてから、困ったように溜息を吐いた。 「その格好でか?」 きょとんっと雪菜は瞳を見開く。その格好。。。この格好。。。。?? 其処まで考えて、雪菜は恐る恐る自分の姿を見下ろして。。。。ピシリと固まった。 。。。。。 。。。。。。。。。 。。。。。。。。。。。。。 (いやぁぁぁぁぁぁ〜〜〜!!!!!(///)) 約10秒の沈黙後、ぼんっ!!と言う効果音が聞こえてきそうな勢いで 雪菜の顔が首まで真赤に染まる。説明するまでもないが、 雪菜の服装は、純白の上、薄い生地であった。水に濡れれば当然透ける。 腰まで伸ばした髪も、それなりに水分を吸い、ぴったりと肌に吸い付くように 彼女のラインを引き立たせていた。余りにも遅い反応と、真赤になりながら慌てふためく 雪菜の様子が可笑しくて、乖吏はついつい意地の悪い笑みを浮べた。 「心配しなくても幼児の体見て欲情する程飢えてねーよ。」 確かに、幸か不幸か、その姿から女性らしい色気は感じられない(ロリコン。。。基、 雪菜にべた惚れである宍道が見れば又違うのだろうが)。けれど、余りにも 華奢なその体は、今にも壊れてしまいそうな危うさを放っていた。 が、そんな事は夢にも思わない雪菜は、乖吏の露骨な言い方に、ますます顔を赤らる。 いじわる。 砂地の上に文字を残して、雪菜は珍しく怒ったような眼差しで乖吏を見上げた。 恥ずかしさに潤んだ瞳で睨まれても、可愛いだけなのだが。。。。 「はいはい。だから言っただろ?話はまた今度な?」 思わず笑いが込み上げてきて、乖吏はぽんぽんと軽く雪菜の頭を撫でると、彼女に背を向けた。 こんな姿では、流石に残る事もできず、雪菜は仕方なしに乖吏の後を追いかける。 結局、どうして此処に来たのか、聞けなかったけれど、自惚れでも、嬉しかった。 子供扱いされるのは好きではなかったけれど、大人の女性として扱ってもらいたいのかと問われれば、そうでも なかった。 でも。。。。。でもね。。。。。。 月が照らしても、 星が照らしても、 懸隔は何処までも暗く遠く。 一瞬だけ切なく曇った雪菜の表情は、誰にも見られる事なく闇の影に優しく包まれた。 |
| そろそろ本気で日本語忘れてきたかもしれません。(死) 楽園にエントリーしております。この小説を読んでまぁ、許せる出来だわvと思った方は投票してやってください。人魚の歌で検索をすれば出て来る。。と思います。(爆) <<...TOP...>><<...PREV...>><<...NEXT...>> <<...HOME..>><<...RAKUEN...>> |