| Chapter23: 『 Unseen Reason 』 |
|---|
めんどくせ。。。。 らしくないママゴトに付き合って僅か数日。即効で後悔してた。周りの反応が予想以上だった事もある。地味な上に美人とも言えない少女だったから、学校でも目立たないんだろうと思ったのが間違いだった。これが相当の有名人だったらしく、怪しげな オタク集団にはストーキングされるわ(後に雪菜保護委員会であったと判明)、見た目優等生な闘牛女(まどかの事)には襲われるわ、果てには教師にまで睨まれる始末。 だから誰もたぶらかしてねーっつーの。 女性関係の問題には慣れているが、此処まで奇怪極まりない災難に巻き込まれたのは初めてだ。でも、それよりも、妙に甘ったるい笑顔見てると、どうしても胡乱とした気持ちにさせられて。。 「お前。。。あんな初な子にまで手ー出したのか。。。その内ほんっとーに刺されるぞ。」 誰が何時手ー出したんだコラ。第一ガキに興味はない。 どっちかって言ったら捨て猫か迷子を拾ったような 感じだった。 「帰るわ。」 「迎えに行かないのか?」 「適当に待って来なかったら帰れって言っておいた。」 下校時間としてはまだ早い。雪菜は何時もとろとろとしている為、間違いなく教室に残っているだろうが、迎えに行く気分じゃなかった。 「そんな事言うと何時までも待ってそうだよねぇ〜。。。」 ニヤニヤと笑いながら言う保一が更に行く気を無くさせる。 待つ方が馬鹿なんだ。。。。。。。 そう思って。暫くの間サボる回数が増えた。 サボるというのは正しくないかもしれない。仕事でもあるまいし。。。と言いつつ、気にかけている自分に気がつくと、無償に苛立った。 保一の言葉が正しかったと思い知らされたのは、それから数週間後。 流石に欠席数が増えすぎてしまい、指導室に呼び出されて長ったらしい説教を聞いた後 だった。既に時間は6時を過ぎていて、燃え盛るような夕日が暑苦しく窓から 差し込んでいた。かばんを取って、何となく一年生の教室を通り過ぎようとして。 思いっきり頭を抱えたくなった。 いや、違う。。。。そうではなくって、本当はショックを受けたのだ。それも僅かな動揺ではなく、吐息すら忘れる程の衝撃を。 『何時までも待ってそうだよねぇ〜。』 憎らしいまでに笑顔で放たれた保一の言葉が、鮮明に脳裏に蘇った。 椅子に腰掛けて、窓に頭を預けて、きっともう何時間も同じ風景を眺めているのだろう。 理不尽だと解っていても、無償に腹が立った。 「雪。。。。。。」 。。。。。しかも寝てるし。良くこんな微妙な位置で寝られるな。 。 規則正しく胸を上下させて。襲ってくれと言わんばかりに無防備な姿だ。 まぁ。。。。こんな色気無い奴襲うような奴がいるとも思えねーけど。 下手したら幼女としか言いようがない程にあどけない寝顔である。 が、その変態主義者がわんさかといる事を思い知らされたのは又後日談。 起こそうかどうか躊躇ったが、そんな場合じゃないと思い直し、 華奢すぎる程に小さな肩を揺らした。 僅かに顔を顰めて、ゆっくりと双方の瞼が開かれる、ぱちぱちと眩しそうに瞬きを 繰り返してから、一瞬驚いたようなその表情は、数秒と経たぬ内に笑顔になった。 夕日に反射されて、正しく眩いと言うに相応しい微笑み。 痛恨の一撃だった。他に言いようがない。何しろ、沸き上がった感情の正体 は自分でも解らないのだから。只、酷く胸苦しい以外は。。。。 「なんでこんな所で寝てるんだ。お前は。」 幾らなんでも此処で怒るのは不憫な気がして、なるべく平静に言うと、雪菜は ぽっと顔を赤らめた。 待ってたら何時の間に。。。 書き出してからますます顔を赤らめる。解ってはいたが、やっぱり待っていたのかと思うと再び心がざわついた。 「10分待ってこなかったら帰れって言っただろ?」 待つの好き。 困ったように考えてから紙にペンを走らせる。半分嘘、半分本当と言った所なんだろう。 けど。。。。 期待されるのは好きじゃない。責任を取るのも好きじゃない。身勝手な人間なんだと、 いい加減諦めて欲しかった。そして、逃げるも離れるも好きにしたら良いと。 この信頼しきった笑顔をもう一刻たりとも見ていたくなかった。 そうして、不注意に放った言葉が。。。。 「俺は待たれるの嫌いなんだよ。そういうのってうざってー。。。」 言ってしまってから流石に酷かったかなと直に思ったが、一発殴られるぐらいなら 良いと思ってた。だが。。。。 『ごめんなさい。』 パチパチと何度か瞬きをした後、雪菜は無表情でそれだけを紙に書き出した。 その手が、小刻みに震えている事に気がついて。 焦った。 結局雪菜は何も悪くはない。それなのに、怒る所か素直に謝ってしまう辺り、 やはり自分とは合わないと思った。 「悪い。言い過ぎた。」 弁解をしようとしても聞き入れる様子はなく、余計に歯止めを無くした様に、 雪菜の瞳からは涙が溢れ出した。口元を両手で抑えて必至に我慢しようとしている姿が、 更に痛々しくて。 止めるのも聞かずに鞄を持つと、雪菜はそのまま脱兎の如く教室から逃げ出した。 。。。。。。考えようによっては良かったのか。。。? これで彼女も安易に信用する事は無くなるだろう。 それよりも二度と顔を会わせたくないと思うかもしれない。目的は果たした。。。筈。 けれど、 人生最悪の気分だった。 ゥ 「。。。。。。。又か。」 チュンチュンと、可愛らしい鳥の鳴き声に。。。ではなく、耳鳴りする程に喚きたてる 目覚し時計に起こされて、乖吏はベットから身を起こした。実は彼、低血圧で、一度寝ると中々起きられない性質なのだ。 最近いやに同じ夢をよく見る。夢は自分でコントロールできる物ではないし、 深く考えるだけ無駄なのだが。。。胡乱とした感情が心にとぐろ巻いて、なんとも言えず 気持ち悪い。いや、理由は解っているのだ。。。。解ってしまうから更に腹正しいのである。 。。。。。。ひょっとして進歩ねーのか。。。俺。 全くもってその通りだが、 誰かの為に、自分を変える。誰かの所為で自分が変わる。 それが、何より愚かしくて、許せない事に変わりはない。 お世辞にも優しく扱っていたとは言えないあの頃。。。それは今もそうかもしれないが、雪菜の神経は以外と図太かったらしく(只単に鈍いだけなのかもしれないが。) 泣き顔は、それまで一度も見たことなかった。だから、余計に油断があったのかもしれない。 「雪菜が好意に弱いのは、居場所が欲しいからなんだよ。」 「。。。。。何でそんな事解るんだ。」 「僕の天才的感♪」 「。。。。」 「なのに直球でうざったいなんて言われた日にゃ自殺しかねない程ショックだろーなぁ。。。」 淡々とした弥との会話が脳裏に蘇る。あの時は、その余裕っぷりに怒りすら覚えた程だが、 その後の行動をずばり見透かされていたからなのだろう。喰えない人間だ。勿論、 幾ら雪菜と言えど自殺に走るような馬鹿な真似はしなかったが。 。。。。どうするか。。。。。 「ぐっもーにん♪乖吏君!!今日も清々しい朝だね!!ってあれ?もう起きたのかい? いや〜〜てっきりまた目覚まし壊して寝てしまったのかと思ったよ。はっはっは偉い偉い♪」 「。。。。。(怒)」 乖吏が溜息を吐いた刹那、勢い良くドアが開けられて、朝からハイテンションな 宍道が登場した。ちなみに、彼は乖吏と逆で、医者ながらにして早寝早起きと、 実にマイペース且つ健康的な生活を送っている。ムカツクまでに爽やかな笑顔の 宍道に、乖吏はどっと怒りと疲れが襲ってくるのを感じた。そればかりか、既に ストレスで胃が痛い。最近めっきり苦労性になった乖吏であった。 ゥ 「で、結局失敗した訳なんですね?」 「人の事ばかり言わないでくれる?アンタ自身はどうなのよ。私はあくまでも補足よ。大体、あの子が戻らなかったら一番困るのアンタでしょ?」 故巳は半ば嘲笑うかのような女を見上げて、唇を噛んだ。口惜しさを通り越して憎しみすら沸いてくる。。。だが、知美が言っている事も真実。此処でいがみ合いをしても仕方ない。 「解ってるよ。」 「フフフフ。。。素直なのね。そう言う所は変わらないか。まぁ、あの父親まだ助けようなんて思うんだから。。。貴方も重症よね。あの子もだけど。」 耳障りな笑い声を拳を握り締めて耐えた。雪菜と同じ艶やかな黒髪が、妖艶に目の前で 揺れる。かっと頭に血が上った刹那、それを見透かしたように知美の冷たい声が降り注いだ。 「顔に出てるわよ、馬鹿。一つ言ってあげるわ。以外と彼の方も本気なのかもね。調べた 結果じゃ簡単に靡(なび)くかと思ったけど。。。。だとしたら、アンタ勝ち目薄いわよ? 同情に訴えてみる?くすくす。。。」 「っ。。。。。。失礼します。」 いかにも愚弄している様な台詞で、知美はさらりと言いのけた。 限界に達しそうな自分の忍耐力に気がついて、故巳は早々に一礼すると 素早く踵を返す。さっさとこの女の目の前から消えうせたい。。。。その思いで一杯だった。 自分だって同じ穴のムジナの癖に。。。。 ゥ 「乖吏。。。お前、終にそっちの道にも走るようになったか。。。言ってくれればこの僕が相手になったのにっ!!!」 「何がだ!!」 訳解らないが何故か怒りを誘う保一の台詞に、乖吏は苛ただしげに聞き返してやった。 関わりたくはないが、無視すると保一の場合そのまま淡々と話し続けるからである。 「さっきからずっと見てられてるぜ?転校生君にvだから僕はてっきり乖吏がそっちの 道に走ってしまって熱い愛の眼差しを。。。」 「それ以上言ったらコロス。」 どっからそんな気色悪い想像をしてくるんだと毒づきつつ、乖吏が振り向くと、 見事に故巳と視線が合って。 なんだ? 敵意を通り越した憎悪とも言える眼差しを受け止めて、乖吏は怪訝そうに眉を顰めた。 恨まれる覚えは山程あるが、故巳に根にもたれる様な事はまだ何もしていない。。。。筈である。まぁ、熱い愛の眼差しだったらそれこそもっと気持ち悪いが。。。。 。。。まぁ、良いか。 だが、長き経験に渡り嫌悪の眼差しに慣れすぎてしまった乖吏は、大して気にする事もなくさっさとその事実を脳裏から抹消してしまったのだった。興味なさげに、視線を反らしたその様子が、更に故巳の怒りを煽っている事など知る由もなく。 「所で、お姫様最近ずっと学校来ないねぇ。。。保護委員会も寂しいって言ってたよ。」 「。。。。なんで関わりあるんだお前。」 保護委員会よりも、事実を知った時の、雪菜の狂人ボディーガードの反応が恐ろしいと思う乖吏。だが、確かに雪菜はここ数日ずっと学校を休んでいて。今さら罪悪感を感じている自分が情けなくなる乖吏であった。此処は謝らねばならないのだろう。。。どう考えても 悪いのは自分だ。。。。が、雪菜が学校に来ない限り、家に行かなくてはいけない。。 。。。。。。。。無理だ。 自分の行動力の限界をすぐに悟って、乖吏は溜息吐いた。 ゥ 「少し、話があるんだけど。」 「。。。。。本当に少しで済むんだろーな。」 話と言いつつ、『ツラぁ貸せやコラ』と言う雰囲気ばりばりである。 断ると速攻で口に出しそうになった乖吏だが、そうすれば後ろから刺されかねない無言の怒り感じ取り、面倒だと思いつつも承諾した。幸い、帰り時を過ぎて教室内に生徒の姿もなく、 話題に上るような事もないだろう。 「単刀直入に言わせて貰うけど。。。雪菜に関わらないでくれないか。」 予告通り、歯に衣を着せない台詞である。が、乖吏としては、予測していなかった事ではない。尤も、もう少しばかり遠まわしな物言いをするかと思ったが。。。 切羽詰まってるって事か。。。? 「。。。。それは頼み事か?」 はっきり言って、乖吏としても故巳が好ましい存在である筈はない。 彼の行動は乖吏の目から見て怪しさ万点なのだから。。。。ましてや、 こう宣戦布告をされてしまうと、昔の血が騒ぐと言うもので。ついつい挑発してしまう乖吏だった。 「。。。。。そうだよ。なんだったら土下座でもしてあげようか?」 だが、激怒するかと思われた故巳は、ゆっくりと息を吐き出した後、予想を大きく反した台詞を吐き出して。乖吏は一瞬目を見開いた。 「僕は、彼女の為なら、なんでもできる。。。気まぐれに彼女を傷つけるようなお前とは 違う。。。。僕には。。。。彼女が絶対に必要なんだ。」 「。。。。。。。ふーん。」 良くもまぁそんなクサイ台詞を恥かしげもなく言えるものだ。。。などと感動どころか、 鼻にも引っ掛けない様子で内心暴言を吐く乖吏。情緒の欠片もない奴である。けれど、 本当ならば、羨ましいかもしれない。。。。。。。が。。。。 「何に?」 むしろ、平然と乖吏がそう言った刹那、 冷徹だった故巳の表情が、一瞬にして、困惑と怒り、そして恐怖に歪められて。 「なっ!!!!!」 「わりーけど、人の頼み事は聞かない主義だ。」 言葉を失った故巳に、ニヤリと笑って、乖吏はさっさと教室を出た。 漠然とした疑いが、確かな確信へと姿を変えて行く。けれど、それをどうすべきか、乖吏にはまだ解らなかった。 |
| なんか。。。故巳お兄ちゃん出るとコメディーにならない。。(爆) 楽園にエントリーしております。この小説を読んでまぁ、許せる出来だわvと思った方は投票してやってください。人魚の歌で検索をすれば出て来る。。と思います。(爆) <<...TOP...>><<...PREV...>><<...NEXT...>> <<...HOME..>><<...RAKUEN...>> |