| Chapter12: 『 文化祭(前編) 』 |
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波乱の嵐の夜から何日かが過ぎた。弥や、まどかに心配をかけまいと、次の日には学校に向かった雪菜だが、やはり ガラスによって派手に切られた足は、靴下だけでは誤魔化せる筈もなく、まどかが失神状態に陥った事は言うまでもない。その後、何かあったのかを 話せと問いただされ、覚えている部分だけを正直に話した所、弥は「何かされたんじゃねーの?」とニヤニヤ意味ありげに笑っていた。(そしてまどかに どつかれた事は言うまもでないが。) (絶対無理〜〜〜〜!!!!!) さて、文化祭も間近に迫ったそんな中、放課後、教室内にて雪菜は絶望的な表情で内心叫びを上げていた。 「まぁ、良いじゃん、劇の主役なんて、いい訓練だろ?」 弥が言うと、いかがわしい響きがするのは何故なのか。。。。まぁ、それはさておき、そうなのだ。言葉が喋れなく、学園劇と言えば、 小道具係りか、喋らない脇役(例えるなら木とか石とかモアイ像とか)に分担される筈の雪菜が、なんとクラス中の大抜擢で主役を務めるはめになったのである。 その劇とは、「人魚姫」。 乖吏がいれば、「てめぇーら幾つだよ。」と突っ込みを入れる事間違いない(実際まどかも知能レベルが低いとかなんとか文句をつけていたが)。 何故雪菜が選ばれたかと言うと、 文化祭の売上は、クラス対抗の為、既に合唱際、体育祭、講演会。。。。etc全てにおいて負け続けているクラス委員の意地からだった。幸い、A組は、 女子のレベルだけは他のクラスに比べて高い(弥もまどかも黙っていれば美少女だ。)。よって、三年、並びに教員方に絶大の人気を誇る雪菜を主役に持ってくる事に したのだ。 「なーーーーにが訓練よっ!!!劇なんて。。。。可愛い雪菜を見世物にできますか!!!」 (まどかちゃん。。。。) 「そういやぁ。。。。。。今年はコスチューム、オーダーメイドらしいぜ?。。。可愛いだろーなぁ。。。。人魚コスチューム。」 「。。。。。。。。頑張って!!雪菜!ファイトよ!!!」 拳を握り締めて熱弁するまどかに、雪菜は救いの眼差しを向けるが、それは見事に彼女の性質を把握した弥の一言であっさりと破られる。それにしても、まどかの おやじ化は留まる所を知らないようだ。こうして、雪菜の学園祭主役が決定する事となったのである。 ゥ 「乖吏君、最近学校に行ってないみたいだけど、良いのかい〜?」 「。。。。。。文化祭の準備週間だから三年は殆ど行かねーんだよ。」 突然目の前にぬぅっと顔を出した兄になんとか平静を装って乖吏は 返事を返した。どっから現れたんだよ。。。と突っ込みを入れたいのは山々だが、 そんな事をした所で無駄だと言う事ぐらい解っている。 「そうなんだ?詰まらないねぇ。。。。」 「別に。。。。その方が良い。」 「所で何やるの?」 「映画鑑賞。。。。。。ってなんでンナ事気にするんだよ。」 朝っぱらから高校生との雑談を楽しむ程宍道は暇ではない筈だ。なのになんなのだろうか。。。 この余裕しゃくしゃくの笑顔は。 「そうなんだ。文化祭かぁ。。。青春的な響きだね。私も行ってみようかな。雪菜ちゃんは何やるのか気になるしね。」 。。。。。。目的はそれか。 「あぁ。。。なんか劇やるらしーぜ?主役とか言ってた。」 「ええ!!!」 宍道が思わず驚くのも無理ないだろう。演劇で言葉の喋れない者が主役を務めるなど、普通はありえない。思わず身を乗り出した宍道に、 余計な事を言ってしまったと今更後悔する乖吏だが、此処で引いてもしつこく尋ねられるだけであろう。なんだか最近口が軽くなったよーな。。。と 自分自身を恨みながら、仕方なしに乖吏は適当に説明をつけた。 「人魚姫だから基本的に話さなくても良いらしいぜ?その他の声は他の奴がつけるんじゃねーの?」 「ぶほっ!!!!」 突然、余程驚いたのか、飲みかけていたコーヒーを噴出して、宍道はげほげほと咳き込んだ。そんなに衝撃的な事を言ったか。。。?っと乖吏は自分の 台詞を反芻してみるが。。。。驚く所といえば、一つしか思い当たらない。 「まぁ、高2にもなって人魚姫なんてないよな。普通。」 其処まで驚く程の事でもないが。。。まぁ、期待をしていただけに兄の衝撃は大きいのかもしれない。 少しは同情してやるべきなのだろう。。。。。。。。。そのまま固まってしまった宍道を見て、乖吏がそう 思った瞬間、宍道の握り締めていた拳がふるふると震えた。。。。。。。 「。。。。。。ぃぃ。」 「は?」 「かっ。。。。。かわいい〜〜〜〜〜!!(T▽T)」 。。。。。。 。。。。。。。。。。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。 馬鹿だーーーーー!!!!!!!( ̄口 ̄;) 何を想像したのかは知らない。。。と言うより知りたくもないが、感動の涙にむせかえった宍道に、 乖吏はまごう事なくそう核心した。馬鹿だ。救いようのない馬鹿だ。果てしない馬鹿だ。それ以外に 何が言えようか。せっかくの休みに、朝から激しい頭痛を負わされた乖吏は「勝手にしてくれ。。。」と 力なく嘆くと、さっさと食べる気も失せた朝食を片付けて、キッチンから出て行ったのであった。 ゥ 所変わって此処は学校。ちゃくちゃくと文化祭が進められている中、突然、体育館に絶叫が響いた。 「なっなななななんなのよーーーーーー!!このコスチュームは!!!!!!!!」 ミス・スクリームの異名を持つ恭子に匹敵する程の叫び声の持ち主は、まぁ、なんと言うかやはりまどかである。 わなわなと震えながら、彼女が指差すその先には、なんともまぁ。。。セクシーな尾ひれつき水着がひらひらと衣装係り。。。基、弥の手によって 広げられていた。当然、これがお待ちかねの人魚姫コスチュームである事は言うまでもない。 「こっこここんな露出度が高い服を雪菜に着せられますか!!!!!!」 「。。。。まどか、人魚姫=露出度が高いってほーてー式しらねー?」 「知るか!!!!」 否定はしないが、そんな方程式はないと思う。なんだか目が点になっている雪菜の横で、血管がぶち切れそうな勢いで 怒り狂っているまどかだが、気にする様子はさらさらなく、弥は面白そうにニヤニヤと笑みを浮べている。 「心配しなくても、まどかも着るから。」 ちなみに、まどかの役柄は人魚姫の姉。。。 「いらんわボケェ!!!!!」 説明は最後までさせて欲しいのだが。。。まぁ、予想通りというかなんと言うか、まどかの怒涛の一撃が直後に舞台に炸裂した。 その様子を見ていたクラスメイトたち誰しもが、何度目かもしれない舞台セットの崩壊に涙を流した事は言うまでもない。 (ふふふ。久しぶりに平和でいいなぁ〜。) 最近乖吏と帰れないのは寂しいけれど。。。と内心付け足して、雪菜は小さく微笑んだ。 これが平和かどうかは取り合えず突っ込まないとして、あの嵐の一軒から、雪菜の中で、乖吏の存在は益々 絶対的な物になっているのである。元々、恩は三倍にして返す雪菜は、宍道から聞いただけだが、 あの時助けに来てくれたと言う事実に、これ以上ない程に感動と感謝を覚えていた。 (何か。。。返せれば良いんだけど。。。。) その事を彼が望んでいないとしても、何時か、その時が来たら、どんな事でも。。。きっとして みせる。何処までも弱い自分だけれど。。。。この決意だけは、絶対崩れない。。。崩さないと、 雪菜は心に誓った。 どたばたと準備は進み、文化祭が終にやってこようとしていた。楽しみ一杯の筈のそれが、 嵐の前兆になるとは、その時、誰もが夢すら思わなかった。 |
| 久しぶりにおバカな兄ちゃんが書きたくなったのです。(爆) 楽園にエントリーしております。この小説を読んでまぁ、許せる出来だわvと思った方は投票してやってください。人魚の歌で検索をすれば出て来る。。と思います。(爆) <<...TOP...>><<...PREV...>><<...NEXT...>> <<...HOME..>><<...RAKUEN...>> |