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うーーー、体が、重たいです。 リトには出かけるなと言われたのですが、外の井戸に行くぐらいは許されるでしょうか? っと言う訳で、これは必要リスクという事で・・・。 でも人の姿は特に注意されていたので、蛇の姿になり私はそろりと宿屋の窓から外へと這い出しました。・・・蛇って壁移動もすいすいなので便利です。 それにしても、リトが言っていたスコーピオンとは、結局なんなのでしょう。リトは、なんだか説明をはぐらかしているように思えました。私に、言えない事なのでしょうか・・・・。 まぁ、一杯飲んでから考えましょう。 「スコーピオンを見つけたぞっ!!」 えっ!? 井戸にダイブしようとした途端聞こえた叫びに、私はびっくりして周囲を見回しました。 その時でした。 ふわりと、浅黒い何かが視界を横切ったのです。井戸の傍で立ち止まったそれは、汚れたローブを羽織った人の様でした。私の姿には全く気付いていないのでしょう。逃げ道を探すかのように四方を見渡すその姿がいかにも怪しげだったので、私はそっと顔を覗き込みました。 フードに隠された面は暗く、夜目の利く私でもはっきりと見えた訳ではありません。 顔を縁取るのはきっと、緑なす黒髪。そして、その闇の中で静かに燃え盛るように、 『・・・少なくとも人間側にいる限りは露出しない方が身の為だ』 連動するように、リトの言葉が脳裏を駆けました。 きっと、これが、『スコーピオン』
僅かばかりに乱れた息を吐き、フードを被ったその者は井戸水を数口含むと、再び走り出しました。見失う訳にはいきません、お、追いかけましょうっ! で、でも、は、速いですーっ!蛇の姿じゃとても追いつけません。 心の中でリトに謝って、私は蛇から人形(ひとがた)へと変身しました。後で怒られるのは嫌ですが、背に腹は変えられません。 「えーっと、何処に行ってしまったのでしょうか。」 路地裏に消えて行く姿を見失うまいと懸命に走ってきたのですが、どうやら私は足が速くないみたいで、直に見失ってしまいました。こんな事なら、最初に呼び止めておけば良かったです。 「おい、いたぞっ!スコーピオンだっ!!」
土に深々と突き刺さっているのは、大木も一刀両断できてしまいそうな斧。 「ち、避けたかっ!!おい、お前らっ!」 斧を拾い上げ構えた、いかつい親父さんの後ろからぞろぞろと現れる人たち。 「気持ちの悪い姿しやがって。」 ううっ・・・気持ち悪いって酷いです〜。 「よし、俺が合図したら一気に切り刻むぞっ!」 ええっ!ちょ、ちょっと切り刻むって皆さん、女の子相手にーっ! そうこう考える間も、どんどん取り囲まれています。 「い、いたいですー、私、何もしてませんーっ!!」 目を充血させ、唾をとばしながら罵倒する人たちは、私の言葉を全然聞いてくれません。 でも・・・でも・・・・。 「今だ、首を切り落とせっ!!」 えぇっ!?ご、獄門ですかっ!??うわーんっ!! 「「うぐぁぁっ!!?」」 目を瞑った次の瞬間、幾つもの痛烈な悲鳴が響き、私は驚いて瞼を開きました。 う、嘘・・・私、力なんて使ってないのにっ・・・。 ぴくりとも動かない体にぞっと恐怖が背筋を掛け上がる。私のせい・・・?無意識のうちに力を使ってしまった・・・? い、嫌です・・・そんなのっ・・・。 「大丈夫?」 心細くて思わず涙腺が緩んでしまった私の視界に気遣う声と共に白いハンカチが差し出され。はっと顔を上げと、くすりとフードの中から笑みがこぼれた気がしました。
何時の間にこんな近くまで来ていたのか、やんわりとフードを取り払い、 滑らかなウェーブのかかった、短い癖のある黒髪と、 その背からは、鋭利な先端を持つ異形なる尾が伸びていました。 リトの言葉と共に、愕然と気づく。
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