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予期せぬ人物の登場に気を取られたのはつかの間だった。 「一体どうやってここまで来たんだ?」 尋ねるとフェルシアが誇らしげに胸を張った。 「ふふーん、百聞は一見にしかず・・・地底族の究極の新兵器の威力、見せてやるよ!!」 そう言うや否や、フェルシアはその華奢な肩に体の二倍ほどもある大筒を構えた。 「ちょっと待て、お前ひょっとして先ほどの攻撃またやるつもりか?」 間髪入れず止めると、納得できないと抗議の声が上がる。こいつ、村を破壊する気か。 「フェルシア、私たちだけなら、武器を使わずとも逃げ出せますよ。そう易々周りを壊しないって、約束したでしょう?」 相変わらず他人を説伏するのが上手い奴だ。 「兄上・・・。」 飛鳥が許可を取るように尋ねる。 「放っておけ。」 楽にしてやった方が良いのかもしれない。再生できない体で、この怪我では放っておいてもすぐ息絶えるだろう。だが、人間に情けをかけられるのは、死んでも不本意に違いない。 「行くぞ。」 無感情に言い放ち、走り出す。数歩後ろで、炎が黒い躯を包んで燃え上がった。
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「どうだ?様子は。」 なんとかギリギリで燃え盛る集落から逃げ出し、俺たちは村近くに設けられた緊急避難所に来ていた。村人たちはここで一晩過ごし、集落の炎が消えるのを待つ事になる。 今回の奇襲で、死者こそ出なかったものの、蟲の毒にやられた負傷者の数は凄まじく、飛鳥がその手当てに忙殺されていた。
「リトーーーーーー!」
きゅいーん、ポンッ!
「お前・・・人が真面目な話ししている時に降ってくるなっ!」 いや、待てこの突っ込みはおかしい。何時の間にやらこのヘボ精霊が空から降ってくる事に慣れきってしまっている。 「回を追うごとにコントロール下手になってるな、お前。」 ガーンッ! 効果音が鳴りそうな勢いでマリーンが落ち込む。 「す、すみません・・・。」 尋ねると、思い出したように、ポンッと手を叩いて、マリーンは嬉しそうに言葉を放った。こいつが喜んで話す内容には、ろくな事がない。俺は身構えた。 「あ、そうです、ダカンさんに言われてお手伝いに・・・。」 ・・・やはりな。 「その本人は一体どうした。」 全てお見通しか・・・。一体何処から情報を仕入れているのか。相変わらず食えない奴だ。しかも来てくれるのは有難い・・・が、態々マリーンを寄越す辺りが嫌がらせとしか思えない。 「解った。もう帰っていいぞ。」 確かに、手際が悪い訳ではないが。マリーンは自分の容貌に自覚が無さ過ぎる。 「・・・ど、どうしても駄目ですか?」 黙り込んだ俺を、否認の態度と取ったのだろう、心細げにマリーンが見上げてくる。 「そんなに邪険にしたら可哀相ですよ、兄上。」 飛鳥の声を聞いたその瞬間、マリーンの顔に明らかな驚愕が浮かぶ。勢い良く振り返り、そして、まだ知るはずの無い名前を、その唇から紡いだ。 「あ、飛鳥ちゃんっ!?」 ・・・ちゃん・・・? 「・・・お久しぶりですね、姉上。」 ・・・姉上・・・? 「え、えええっとじ、じ、実は・・・。」 明らかに今言い訳を探してます、という顔だ。狼狽するマリーンの横で、通常なら助けを出す頃合の飛鳥が含み笑いを零している。・・・不愉快極まりない。 「い、以前お知り合いになりまして、その・・・。」 何処でどうやって会ったのか、それを一言で説明することのどこがそんなに難しいのか、是非とも教えてほしいものだな。 「だったら説明する必要は無い。」 待て、違うだろ。・・・何言ってるんだ俺は。が、言ってしまったものは取り返しようが無い。仕方なく腕の中にいた小さな体を降ろす。 「そんなに怒らないで下さい、兄上。そもそも、兄上が城から出る事を禁じるからいけないのですよ。」 マリーンがもごもごと、微妙な表情を浮かべている。・・・怪しいな。 「それでなんで・・・姉上なんだ?」 どう見てもマリーンの方が遥かに年下だ。 「そういうプレイです。」 ・・・・・・。頭が痛い。
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